クラッチ&プーリーの修理

シルバーピジョンC-90

2013年12月16日


テール配線の修理により電装系も完全に仕上がったので、シルバーピジョンの最大の不具合点であるクラッチの修理にとりかかりました。不具合の内容は、自動変速なのにアイドリング時にクラッチが繋がってしまい、停車時にエンストを起こしてしまうというものです。

 

今まで何度もクラッチの分解清掃&組み付け直し、あるいはアイドリングの調整などを繰り返してきましたが、大した効果はなく、悩みのタネになっていましたので、根本的な対策を実施して決着をつけたいと思います。


クラッチの構造

クラッチを構成する部品はたったの4個(クラッチカバーの裏のウェイトリングを含めると5個)で、それを6本のネジで止めてあるだけという、とても簡素なものです。

「クラッチハウジング」

エンジンのドライブシャフトに嵌り、一緒に回転します。

「クラッチ板」

「プッシャープレート」

クラッチ板をハウジングに押し付ける。

「クラッチカバー」

裏にウェイトリング(バネ状の輪っかのオモリ)が仕込んであり、遠心力でプッシャプレートをクラッチに押し付ける。

6本のネジで上記の部品を固定。

ネジはプッシャープレートの切り欠きを通過。

組み立ててクランクシャフトに嵌めるとこんな感じになります。

(清掃前の写真で汚いですが・・・)

この前面にプーリーがセットされ、プーリーのツメが「クラッチ板」の切り欠き部分に嵌め合う仕組みになっています。


クラッチ動作の仕組み

<アイドリング時>

エンジンが始動してクランクシャフトが回転すると、クランクシャフトに取り付けられているクラッチユニットも回転します。

 

ユニットを止めている6本のネジが「プッシャープレート」の切り欠き部分を通っているため、「プッシャープレート」はクラッチユニットと共に回転しますが、「クラッチ板」はプーリーのツメと嵌め合った状態で、クラッチユニット内では完全にフリーな状態なので止まったままとなります。

 

したがって、エンジンの動力はプーリーには伝えられず。車体は停止した状態を保ちます。

<アクセルを開けた時>

アクセルを開けてエンジンの回転数が上がると、「クラッチカバー」の裏に仕込まれているウェイトリングが遠心力で広がり、そのおもりが「プッシャープレート」を「クラッチ板」に押し付け、「クラッチハウジング」とともに挟み込みます。

 

これにより、「クラッチ板」もクラッチユニットと共に回転し、その動力が嵌めあったツメを介してプーリーへ伝達され、車体が動き出すという仕組みになっています。


不具合点の考察

上記のクラッチ動作の仕組みを考慮して不具合の原因を想像してみると

 

1,アイドリング時の回転数が高すぎる

2,輪っかのバネ状のおもりの重量が適正でない

3,何らかの原因により「プッシャープレート」が戻りきっていない

4,「クラッチ板」がユニット内のどこかに引っかかり共回りしている

 

などが考えられますが、

 

1,は極限まで回転数を落としでもダメだったので消去

2,は輪っかのバネ状のおもりはどう見ても純正部品なのでこれも消去

ということで3,4のいずれかが発生しているのであろうと考え、各部品を良く観察してみました。

 

すると、「クラッチ板」の外周がほんの少しささくれていたり、「プッシャープレート」の切り欠き部分にバリが発生していたり、ネジに段付きが発生していたりと、各部に経年劣化がみられましたので、これらが何らかの作用を及ぼしているのではないかと考え、少し手を加えてみました。


不具合点の対策

各部の経年劣化部分に対して以下の対策を実施してみました。

 

「クラッチ板」外周のささくれに関しては、ヤスリで面取りを実施。

「プッシャープレート」の切り欠き部分のバリも同様にヤスリがけを実施。

ネジの段付きに関しては、ネジにカラーを被せてみましたが、10mmでは短かく15mmでは長すぎたので、ネジの対策は諦めました。

 

また、「クラッチ板」の向きにも疑念を感じていたので、試しに裏表を逆に組み付けてみました。


さらに、クラッチユニットそのものには関係ありませんが、プーリー内のウェイトローラー3個のうち1個が下記の通り破損していましたので、合わせて修復をはかりました。

<正常なウェイトローラー>

11gのローラーをチェーンジョイントで止めてあります。

<破損していたウェイトローラー>

チェーンジョイントのクリップが紛失したのか、針金で止めてありました。

チェーンジョイントのピッチは15.8mmだったので、工業用の50番のチェーンジョイントを3個調達し、さらに内径8mmのキックバネを使ってプーリー内で暴れない様にしてみました。


組み込んでから気づきましたが、クリップの向きを間違えてましたよ。まあ、遠心力で外れることもないでしょうからそのままにしときます。


対策の結果は??

その後、4〜5回テスト走行してみましたが、症状は収まり状態は安定しています。闇雲に手を打ったいずれかの対策が効いた様です。このまま完治してくれると良いのですが・・・。