紆余曲折で津山まで

2006年09月03日(

車両:BMW R1100RS

走行距離:260km

カメラ:Canon IXY DIGITAL450


昨日9月度の二輪車ETCモニターとしてのお勤めを果たしたばかりですが、朝から秋めいた青空が広がっていたので、RSで走りに出る事にしました。当初は二輪車ETCモニターとして無線通過が許可されている範囲内をメインルートに目的地を設定しようと思っていたのですが、家を出る直前になっても目的地が決まらず、結局出たとこ勝負で走ってみる事にしました。


選択肢は・・・

RSに火を入れて、まずはいつも通り姫路バイパスへと向かいます。ここで東行き・西行きどちらの車線を選ぶかで本日のツーリングの内容が大きく左右されます。東行きの車線を選ぶと当初の予定通り二輪車ETCモニターとして無線走行が可能となりますが、そのかわり交通量が多い地域へと向かう事になります。西行きの車線を選ぶと交通量が少なく快適な走行が約束されますが、ETC無線走行は使えません。どちらの車線を選ぶか直前まで悩みましたが、結局は快適な走りを求めて西行きの車線を選びました。

ところが、走り始めてすぐに後悔が始まりました。このまま西へ走っても、主要な道路は既に走破済みなので目新しいルートはありません。本当にこれで良かったんだろうか・・・。東へ走って名神吹田ICまで行った方が良かったのではないだろうか・・・。色々な思いが頭をよぎり、ついには引き返して東を目指そうかとまで思いましたが、あれこれと心の中で葛藤を続けながらRSを走らせているうちに、姫路バイパスを終点まで走りきってしまいました。

皮肉な事に、そんな時に限って私とRSを取り巻くロケーションは最高で、国道2号線で相生市を通過したあとは、前方を遮るものは路上にはなく、道路の先には秋色を帯びた青空が所々に白い雲をちりばめて迎えてくれています。ミラ−の中には追走してくる車の影もなく、「これは何かの罠か!?」と思えるほどでした。

それほどまでに素晴らしいロケーションに恵まれながらも何となく心は晴れず、心底楽しめていない自分がそこにいました。一体何故なんだろう・・・。いったん岡山ブルーラインに上がってはみたものの、いまだにこれと言った目的地を見出だせなかったので、備前ICで岡山ブルーラインを降りて国道250号線に合流しました。

かくなる上は日生(ひなせ)港からフェリーに乗って小豆島にでも渡ろうかとも思いましたが、残念ながら私は反対方向に走っていた様で、日生港にたどり着くどころか国道2号線との交差点に出てしまいました。

この交差点で国道250号線は終わり、この先を直進すると国道374号線となります。この国道374号線は、過去に何度かツーレホでも紹介している通り、吉井川と吉野川の美しい流れを眺めながら走る事ができる絶景快走路で、湯郷温泉まで続いています。今日も絶景快走路の名に恥じぬロケーションを展開してくれたのですが、やはりイマイチテンションが上がってきません。そんな状態だったので、いつしか「このまま湯郷温泉に入ってとっとと帰ろう!」という思いが頭の中を支配し始めていました。

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名ばかりの雲海に失望する

そのまましばらく走っていると、大芦高原温泉「雲海」という看板が目に入りました。ちょっと興味深い名前だったので、看板の示す通りにつづら折りの道を RSで登って行きました。山の上にある温泉でわざわざ「雲海」という名前が付けられている事を考えると、さぞかし見事な眺望を湯船から楽しむ事が出来るのでしょう。時折木々の間から見える景色もなかなか見事なので、これは期待を持てそうです。

・・・なのに、辿りついたその場所は、「雲海」と呼ぶにはほど遠く、何の眺望も楽しめそうにない所に温泉がありました。これには大いに失望しました・・・。

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テンション急上昇

「雲海」に失望したので、「湯郷温泉で一風呂浴びてとっとと帰ろう・・・。」と思いながらRSを走らせていると、吉井川と吉野川の合流地点近くで、津山方面へ抜ける県道を示す案内標識が現れました。意外にも今まで見落としていた道ですが、何となく興味を惹かれたので、その県道を走って見る事にしました。

吉井川に沿ってなだらかな孤を描きながら津山へと続くその県道(26号線)は、津山柵原線(つやまさくはらせん)と呼ばれ、のどかな風景の中を駆け抜けるとても気持ちの良い道でした。この県道26号線を快走するにつれ、先ほどまで感じていたモヤモヤが一気に消え去り、テンションも急上昇しました。

そう、今日の私は、今までに走ったルートを再トレースするのではなく、「今まで走った事のない道を走り、行った事のない場所へ行き、見たことのない物を見たかったのだ!」だから先ほどまでのルートは絶好のロケーションに恵まれたにもかかわらず、イマイチテンションが上がらなかったのです。今初めて走る県道 26号線でようやくそれに気づき、さきほどまで感じていた疑問も氷解しました。

こうなると頭の中も冴え渡り、津山の観光名所の中で、過去のツーリングで見損ねた城東町並み保存地区を探訪してみようという事で考えがまとまりました。目的地も明確になったので、あとは思う存分県道26号線の豪快なノンストップ走行を楽しみ、最後に小高い丘を越えて津山入りを果たしました。

あまりに気持ち良い走りだったので、写真を撮るのも惜しんで走り続けました。


箕作阮甫旧宅

山入りを果たしたあとは、津山城跡から旧出雲街道に沿って古い商家などが点在する城東町並み保存地区を探訪する事にしました。格子戸、なまこ壁といった昔ながらのたたずまいを眺めながらゆっくりとRSで流していると、「箕作阮甫旧宅」と書かれた案内看板が目に入りましたので、まずはそこから探訪してみる事にしました。

箕作阮甫(みつくりげんぽ)とは、幕末に活躍した津山出身の医師で、洋学者としても広く知られています。ペリー来航やプチャーチン来航の際には外交文書の翻訳にあたり、後に蕃所調所の教授を務めたあと幕臣に取り立てられた人です。
日本最初の医学雑誌『泰西名医彙講』をはじめ、医学・語学・西洋史・兵学・宗教学と広範囲にわたり多くの訳述書を世に残しています。

と、偉そうに書いていますが、私もここに来るまで全く知りませんでした。その箕作阮甫の旧宅は、老朽化のために解体復元されたものでしたが、昔ながらの風情を色濃く残した見事なものでした。

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城東むかし町屋(旧梶村家住宅)

箕作阮甫旧宅から少しだけ東へ移動すると、立派な門構えの奥に、美しい庭を中心として主屋に座敷、茶室に白壁の土蔵が見事に配された住宅がありました。ここは城東むかし町家(旧梶村家住宅)といい、以前「津山ツーリング」で見た津山高校旧校舎とおなじく、NHK朝の連続小説「あぐり」ロケ地としても使われたそうです。

主家の裏には洋館も建てられており、江戸期・明治期・大正期・昭和初期の建物が見事に調和していました。

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作州城東屋敷

城東町並み保存地区の東端まで到達したので、Uターンして再びRSで旧出雲街道を流します。すると今度はひときわ高くそびえたつ火の見櫓が目をひく白壁の町家が現れました。ここは作州城東屋敷といい、江戸時代の町家を復元した無料休憩所なのだそうです。

ここは映画「男はつらいよ」の話のロケ地となった所で、その時のロケ風景の写真を展示してありました。座敷にあがってみると、津山出身の画家である河野磐さんが手がけた、丹後山の風景を描いた素晴らしい襖絵が展示されていました。

そして屋敷裏の展示館には、この地方の祭りで使われる見事なだんじりと、河野磐さんが描いた郷土のスケッチが多数展示されていました。

これらの他にも、多数の趣深い見どころがありましたが、帰宅時間の事を考えて、そろそろ城東町並み保存地区を離れる事にしました。

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湯郷温泉 鷺温泉館

城東町並み保存地区の探訪を終え、国道429号線で津山を後にします。広い空と広大な田園風景を楽しみながら快走を続け、県道51号線に合流して湯郷入りを果たし、湯郷温泉の外湯として有名な鷺温泉館に立ち寄りました。いつも賑わいを見せるこの鷺温泉館ですが、今日はいつもに増して多くの人が湯を楽しんでいました。

湯郷の湯も楽しんだので、あとは国道179号線を使い、播磨学園都市経由で姫路までノンストップで帰ってきました。

 

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あとがき

過去の津山ツーリング「悲劇!津山ツーリング」(2004年敢行)では、衆楽園と津山高校旧校舎を散策していましたが、城東町並み保存地区の探訪までは至らなかったので是非とも再訪したいと思っていました。それ以降、ツーリングの通過点として津山を通り過ぎる事は何度かあったのですが、立ち寄る事はありませんでした。

紆余曲折の末、はからずも津山を目的地としたツーリングとなりましたが、今まで暖めていた城東町並み保存地区の探訪が実現する事ができたので、結果としてはとても有意義なツーリングでした。教訓:終わり良ければ全て良し!